ヒントはコード表記の矛盾とアヴォイドノート 2019/11/8掲載
「先入観」という意味ではこれから説明する事はコード・サウンドというものの感覚を少しだけ捨て去る方向に進むかもしれません。
先週までに説明していたヴィブラフォンやマリンバによるコード伴奏(カンピング)の形、というものの組立て方を別の角度で考えてみましょう。
コードのヴォイシングから決まり切った形を取ると伴奏はとても楽になります。しかし、これはコードの理解を音感として認識している人に向けたもので、決してビギナーに向けるものではありません。
ただ、その入り口は、コード・セオリーの知識など殆ど形成される前の「自分」にあると思うので「そうかもしれないな?」程度に触れておいてください。
コードを弾く上での「難問」とは何でしょう?
・・・・・・それはコードが持つ性格(機能)をどこまでキャッチできるかに掛かるでしょう。
その機能を音感的に言うと何でしょう?
・・・・・・・アヴォイド・ノートです。
じゃ、アヴォイド・ノートとは何でしょう?
・・・・・・・コードが含む相反する性質の音です。
相反する性質とは何でしょう?
・・・・・・・主(トニック)の音と属(ドミナント)の音の反発です。もちろん調性においての。
水と油の関係である性質の反発が音楽を展開のあるものへと誘う(進める)のを如何に聴き手に感じさせるのか、が作曲でも演奏でも永遠のテーマ。綺麗にとか、カッコよくとか、感動的にとか・・・
コードの伴奏をするときに、トライトーンの存在は機能を示す上でも絶対的だけど、いつも決まり切った位置で弾いていると自由さが無い。かといって転回形ではこれも位置が変わるだけで代わり映えはあまりない。さらに転回するとすぐに上と下のリミットに達してしまう。
ヴォイシングということからオープン・ヴォイシングを作ることを勧めた(ドロップ2)。これに以前教えた4 way of 4th interval buildも加えて考えると縦積みの音の転回と言う感覚からもう少し自由な繋がりや発想に繋がりはしないか?
先週は・・・・
ドロップ2によるオープン・ヴォイシングの転回形。
すでにコードの根音(root)は低音域専門の楽器が担当する想定でコードスケール上の9thへと置き換え済み。
この真ん中の形を4 way of 4th interval buildに置き換えたところから、何かが変わり始める。
FMaj7のヴォイシングとしてここに登場する音を集めてみると、
3rd, 5th, 7th, 9th, 13th.
実音にすると、
A, C, E, G, D.
音階的に並べてみると、
G-A-C-D-E
F メイジャーのスケールから抜けているのは、
コードの根音(root)として抜いた F
機能的にアヴォイドノートとなる Bb
つまりこれ以外の5つの音は使える、と言うこと。
では、これらの5つの音を使ってヴォイシングのやり方をちょっと変えてみよう。
上のオープン・ヴォイシングの時の最初の配置を起点として、まずは各コードのヴォイシングのTopの音を横に並べてみると、
FMaj7のヴォイシングに含めないアヴォイド・ノートは飛ばした。
それらに今度は2nd voicing を施す。
9thに置き換えたコードの根音(root)は飛ばして、再び出てきたアヴォイドノートも省く。
続いて3rd、さらに4th、同じ要領でと各声部を加えて行くと出来上がり。
|