「手順」と「意識」の連動 = 音の流儀 2018/5/18掲載
「手順」と「意識」の連動についてチャーリー・パーカーの「Donna Lee」の5小節目からのメロディーで学んでみましょう。この曲はテーマを弾くだけでも様々な事を学習できるのです。
あなたが2本のマレットを持ってヴィブラフォンの前に立っているとしても、4本のマレットを持ってヴィブラフォンの前に立っているとしても、これから説明する事を一度試してみて欲しいのですね。
このメロディー、まぁ、テンポは200くらいからを想定しますが、どんな手順で演奏しますか?
まず自分でやってみてください。
そして、ミストーンも無く弾けるようになったら、次の手順で試してみてください。
最初からこちらで演奏しないようにね! (笑)
このメロディーを眺めた時に、音の高低が多いのが譜面からもわかります。
左右の腕を使って演奏する時に、そのターンの箇所にどのような手順を持って来るのかがマレット・キーボーダーの宿命であり、センスだと思うのです。
この場合はターン、又はターンに掛かる箇所はダブルストローク(二連打)を使っています。
シングルストローク(左右交互)で演奏した時と、ターンをダブルストロークで演奏した時と、何かが違うはずです。
一つは、身体の軸がダブルストロークによってブレなくなる、という事。
これを体感してみてください。
もちろん音楽によるところもあるのかもしれませんが、クラシックの一部ではシングルストロークを鉄則させる所もあると聞きます。しかし、そうなるとヴィブラフォンのように真ん中にペダルがあって、そこに右足を固定する姿勢で演奏する楽器では、かなり身体の軸が揺れてしまうのです。(ペダルが横長のスクールモデルをプロは使わない)
さて、ダブルストロークをターンに使う事で、そのダブルで弾く音への意識が高まります。
シングルストロークではあまり意識する事がないかもしれません。
このターンのところの音程に注目です。
ある箇所は全音ですが、ある箇所は半音の動きです。
この半音の動きのところはアプローチノート(approach Note)と言って、前の音が後ろの音を強調させる効果を生んでいます。つまり装飾音符なのですね。
しかし、その装飾音符の中には、その箇所のコードのコードスケールを示すヒントとなる重要な音もあるので、それを見分けてみましょう。
最初のBbm7のところのターンは完全に前の音は後ろの音を強調する為だけの装飾音符です。なぜならBbm7というコードネームのコードトーンBb-Db-F-Ab にぶつかるAの音なので、この音は衝撃的に耳を引き付ける役割を持つ、完璧な非和声音となるので、装飾音符と判断されます。
しかし、続くEb7のところは・・・・・?
おさらいです。
コードネームと調号だけで判断すると、次のようなコードスケールがこの二つのコードに存在します。
●(黒丸)の箇所がコードスケールとして予測されるテンション
さて、そうなると、Eb7のところで出て来たメロディーの音と、元々調号との整合性で予測される音にメロディーで使われている音を合わせると・・・・・・
ううむ。。。。
このままではどれがコードスケール上の音でどれが装飾音符なのか判断できませんねぇ。。
ううむ。。。。
もう一度このスケールを眺めてみましょう。
何か気付きませんか?
唯一、この音階を説明出来るヒントが、メロディーに潜んでいるのですよ!
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